北九州市立美術館分館 (小倉城の北、大規模商業施設リバーウォーク内4、5階)
で開催中の 「院展」を初日の9日に見に行きました。ブログに書こうか、迷いましたが、自分に対しての反省になるとして、遅くなりましたがアップしました。
院展は、秋と春にそれぞれあります。今回の院展は、昨年秋(2015年9月)、上野公園の東京都美術館からスタートした巡回展です。 都美術館の後、京都・大阪・名古屋・・・ と巡回し、北九州は4月にやってきます。
東京展の出品点数は300点を超えますが、地方展は会場の都合もあり、地元作家を優先し、70点から90点くらいになるようです。
30分ほどで会場を出てしまいました。
牡蠣かき殻粉(胡粉)や水晶粉、大理石粉などの白色顔料の多用でしょうか、白砂糖を塗った煎餅みたいな絵肌の作品が連なり、白内障の人が見たらこんな感じかなと思うような、霞んでぼやけたような作品が多いように思いました。
足が止まったのは、那波多目功一《菊花》と、大学同窓の北田克己かつみ君の作品でした。
会場を出て、同じフロアの展望コーナーから俯瞰した小倉城内の風景が、鮮やかに活き活きと、奥行き感たっぷりに映りました。普段はそれほど感じない風景なんですが・・・
空気感に乏しい大画面が並ぶ会場で、酸欠気分になっていたからでしょうか。
深呼吸しました。
小倉 リバーウォーク 南面からの展望
会場で気になる光景を見ました。 絵より先に、横に添えている作家名・作家の出身県・作家の言葉(作品解説文)が書かれてあるキャプションを読んでから鑑賞する人が多いのです。
ひょっとして、同じ気配の絵が多いせいか、答え合わせをしているのかもしれません。 絵が参考図になっているのです。 絵そのものに力がないのかなぁ。
そして、使っている画材や技法を話題にしている人たちのグループ・・・内容より、そっちが気になるか。 絵を見る時は自分のペースで見てほしいなぁ。
自分の絵は、絵だけで魅せたいものだと反省しました。
院展で活躍した作家の作品で、わたしが感動したのは、――速水御舟はやみ・ぎょしゅう、
菱田春草、横山大観、今村紫紅しこう、小杉未醒、小川芋銭うせん、小倉 遊亀 、奥村土牛でした。
小倉 遊亀 と奥村土牛の両氏は、学生時代に上野の院展会場で直接お姿を拝見いたしました。
無色透明で俗性が全くなく、眼差しが優しいのに鋭かったことが印象に残っています。
北九州市立美術館分館 入り口
日本美術院展覧会(院展)は、公益財団法人・日本美術院が主催運営している日本画の公募展覧会です。日本美術院は、東京美術学校長の職を退いた岡倉天心が、東京美術学校を辞職した橋本雅邦、横山大観、菱田春草、下村観山らと創設した研究団体です。谷中初音町に研究所を建設し(昭和27年、東京都の文化史蹟に指定され、現在、岡倉天心記念公園として岡倉天心先生旧宅趾・日本美術院発祥之地碑が建てられています) ―― 院展ホームページから
速水御舟の《京の舞妓》(大正9年)を院展会場で見た横山大観が、「除名してしまえ」と激怒したエピソードを思い出しました。皆、熱かったのですね。
春の院展 巡回展: 8月2日(火)~8月7日(日) 6日間 福岡三越