前回の父の日のブログで、「チチの日」と表記した件で友人から“私らしくない”というコメントを頂きました。私としては、世の母親をイメージする「チチ」と、男親「父」の発音が似ていることが、小さい時から気になっていたもので、勇気を出して載せた、ということです。??
本題。今まで観た映画の中で“父親”の存在を最初に意識した作品は、「自転車泥棒」(1948伊、ビットリオ・デ・シーカ)と「鉄道員」(56伊、ピエトロ・ジェルミ)でしょうか。
何遍観ても飽きません。
小津安二郎監督「東京物語」(1953松竹大船)は、学生の時に監督特集の映画館で衝撃を受け、日本の父親映画ナンバーワンになりました。
今回紹介しますのは、イタリア映画「みんな元気」(1990伊仏合作)です。
監督・脚本:ジュゼッペ・トルトナーレ(ニュー・シネマ・パラダイス)
音楽:エンニオ・モリコーネ
マルチェロ・マストロヤンニ、ミシェル・モルガン、ジャック・ベラン、
サルヴァトーレ“トト”カシオ他
私のコレクションから
VHSビデオ ヘラルド・エースPCVX-30096
イタリアはシチリア島の公務員を退いた74歳の父親が、夏のバカンスに帰ってこなかった5人の子どもたちをそれぞれ訪ねる旅に出ます。
ナポリ・ローマ・フィレンツェ・ミラノ・トリノの街を捜しまわるロードムービーです。
大学勤務と、政治家の秘書をしている息子たち。女優兼モデルと、会社役員のキャリアウーマン、そして打楽器奏者(ミラノのオペラ座)の娘たち。
子どもたちの都合で会う時間を取れないまま、旅の最後に倒れたローマの病院で子どもが集まるという皮肉。
シチリア島に帰り、妻の墓前で旅の報告をします。ラストシーンで赤ちゃんが出てきますが、あちらでは、子どもが生まれて最初に爪を切る時にお札を握らせると、その子が元気で幸福な人生を送ることが出来るといわれています。
これを知っておくと流れに乗れます。
特に印象に残ったシーンは三つ。シチリア島名物の砂糖菓子のお土産が、父親の希望であり期待を暗示していたこと。
渋滞した車列の前に立ちはだかる神々しい大鹿。
最後は、浜辺で浮かぶ巨大な物体。画家ルドンの幻想画を連想しました。
また、子どもたちに付けられた名前がそれぞれオペラの役からきているので、音楽ファンには楽しいところです。
「みんな元気」 映画パンフレット表紙
「みんな元気」 映画パンフレットから
父親役のマルチェロ・マストロヤンニと「東京物語」の父親役、笠智衆を比べてみると、感情を抑えるか抑えないかの違いかな。
興味が尽きません。
これらの作品は、これからも私の大切な映画であり続けるでしょう。
(観て良し、聴いて良し。レンタルショップで探してくださいね。)