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Channel: 木ノ下淳一 アトリエ・キノチッタ ブログ
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ランドセル  2

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ランドセルの話2回目です。
久しぶりランドセル売り場に寄って担当の方から説明を受けました。
資料収集では、仕事先で 「三越伊勢丹『ランドセルとキッズのインテリア 2016春』
カタログ」 を入手。 最近のランドセル状況を知る上で大変参考になりました。

日本橋三越本店と伊勢丹新宿店が販売する最高級ランドセルは、イタリア製・マエストロ職人工房の逸品。 高級馬具の延長線上にあるような職人技の仕事です。
価格は17万円超え。 これをどうとらえるか。
色染めにこだわり、ベジタブルタンニンレザーなど、子どもに迎合した要素がないので、大人になっても使えそう。 そう考えれば、決して高くないかも。

ただし、“かぶせ”に黄色い塩化ビニールの交通安全マークと反射材が付いた
カバーを必着させる学校なら、高級レザーが覆われてしまってもったいないか。
自治体のユルキャライラストが付いていたらもう最悪・・・

イメージ 1
三越伊勢丹 『ランドセルとキッズのインテリア 2016春』 カタログ

日本製も負けてはいません。技術力と手を抜かない心のこもった作りは絶対です。
6年間品質保証(故障・破損)はもちろん、個人賠償責任補償、そして最高補償額
1億円を付けての販売もあります。

重さ・・・ 軽くなったものです。どのメーカーもkgちょっと。700gをきる軽量型もあるようです。

色・・・ 「男子は黒」で「女子は赤」。この対照的な色合いで男女を決めていた常識が崩れてきています。
今までは、あまり深く考えず管理しやすいというだけで、丸投げの感がありました。

江戸時代までは、赤黒で男女を決めませんでした。紅(赤)を力強さの象徴として前面にだした大名や武将もいました。赤黒で男女を区分けする概念は海外では見当たりません。 “明治の日本”になってからのことです。

最近のNHK紅白歌合戦を見れば、「紅白」の区分けも無理があることがわかるでしょう。 ピンクが好きな歌手もいるし、反対側のステージがふさわしい歌手もいます。

もう一例を挙げます。現代の日本において葬式で白服を着てきたら、ひんしゅくをかいますが、江戸時代までは白装束が正装でした。黒の喪服は明治以降、西洋にならったもので、伝統的な葬儀の配色ではないのです。西洋コンプレックスの例です。
ジェンダーの差別だ!の問題は置いておき、色の想いや価値観は、時代によって変化します。

ユニセックス(男女兼用・男女共用)の時代に合わせて、多様な色数がカタログに載っています。
グリーン、ネイビー、ブラウン、ピンク、キャメルは多くのメーカーが揃えています。
「ニトリ」のパンフレットでは、パールスカイ、パールラベンダー、ショコラピンク、ラズベリーチョコ、フローズングリーン、ジーンズ、カーボンピーチ、チョコレート、ストロベリー、スカイ、ネイビー と選ぶ方が迷ってしまいそうな色数です。

大きさ・・・ A4クリアより一回り大きいA4フラットファイルが入るサイズが出ています。大きいのでは37㎝×26㎝くらい。
電子ノートや電子書籍が授業で必須になったら、この大きさはどうなんでしょう。
ペーパーレスの時代が実現したら、容積がまた小さい時代に戻りますか。

素材・・・天然皮革、人工皮革、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステルから環境問題に対応したペットボトル再生繊維、F1レースの車体ボディや宇宙服などに使用される 最先端のリアルソフトカーボン繊維まであります。
いずれも耐久性はもちろん、圧力分散、通気性、透湿性、はっ水加工、抗菌防カビ加工の処理を謳うものもあります。

まとめです。
これからの時代、ランドセルは、帰宅困難児童用や災害用ランドセルとして進化していきそうです。
防空ずきん入りは、すでに商品化されています。
心拍数・血圧・体温・歩行数などをチェックできる機能や、場所が確認できるGPS、防犯カメラ
付きは当たり前。
さらにミニライト、ホイッスル、乾パン、ミニ消化器、携帯アラーム、防犯催涙スプレー、浄水機能ボトル、医薬品、救命胴衣・・・これらを積むとなると大型化に戻りそう。

近い将来、太陽ソーラーを全面に貼り付けた自家発電ランドセルを背負う子どもたちが春の到来を感じさせる景色になりましょう。

イメージ 2
小津安二郎監督 『生れてはみたけれど』 活弁・トーキー版  VHSテープ: IVCV―3303S

最後に、ランドセルを背負った子どもたちが活き活きと学び遊ぶ映画1932年・松竹蒲田製作)小津安二郎監督 『生れてはみたけれど』(サイレント・白黒)をおすすめして話を終わります。
無声映画ですが、活動弁士・松田春翠の声と楽器音入りがより楽しめます。





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